礼拝メッセージ(2024年6月9日)「不信仰と向き合う」 石井努 牧師

           

1:コリントの信徒への手紙一/ 05章 01節
現に聞くところによると、あなたがたの間にみだらな行いがあり、しかもそれは、異邦人の間にもないほどのみだらな行いで、ある人が父の妻をわがものとしているとのことです。
2:コリントの信徒への手紙一/ 05章 02節
それにもかかわらず、あなたがたは高ぶっているのか。むしろ悲しんで、こんなことをする者を自分たちの間から除外すべきではなかったのですか。
3:コリントの信徒への手紙一/ 05章 03節
わたしは体では離れていても霊ではそこにいて、現に居合わせた者のように、そんなことをした者を既に裁いてしまっています。
4:コリントの信徒への手紙一/ 05章 04節
つまり、わたしたちの主イエスの名により、わたしたちの主イエスの力をもって、あなたがたとわたしの霊が集まり、
5:コリントの信徒への手紙一/ 05章 05節
このような者を、その肉が滅ぼされるようにサタンに引き渡したのです。それは主の日に彼の霊が救われるためです。
6:コリントの信徒への手紙一/ 05章 06節
あなたがたが誇っているのは、よくない。わずかなパン種が練り粉全体を膨らませることを、知らないのですか。
7:コリントの信徒への手紙一/ 05章 07節
いつも新しい練り粉のままでいられるように、古いパン種をきれいに取り除きなさい。現に、あなたがたはパン種の入っていない者なのです。キリストが、わたしたちの過越の小羊として屠られたからです。
8:コリントの信徒への手紙一/ 05章 08節
だから、古いパン種や悪意と邪悪のパン種を用いないで、パン種の入っていない、純粋で真実のパンで過越祭を祝おうではありませんか。

コリントの信徒への手紙一/ 05章 01節~05章 08節(新共同訳聖書)

         

 パウロは、コリント教会の聞くに堪えない状況の報告を受けて、手紙に警告をしたためました。「現に聞くところによると、あなたがたの間にみだらな行いがあり、しかもそれは、異邦人の間にもないほどのみだらな行いで、ある人が父の妻をわがものとしているとのことです。」パウロは具体的な事態をあげて警告するのです。ここで、「父の妻」と言われているのは、自分の母親のことではないようです。おそらく、一夫多妻であった父親の別の妻と性的関係をもっていたのだと思います。こう指摘されたユダヤ人は、小さい時から律法を教えられてきたはずです。彼らの問題は、それだけではありませんでした。教会としてこの罪を放っておいて、この罪に対してなにもしなかったことです。 「それにもかかわらず、あなたがたは高ぶっているのか。」と書いています。問題は、このようにその罪がはっきりしているのにも関わらず、教会として何もしなかったことです。コリントの人々は、自分たちの信仰に高ぶっているのか、自分の知識に自己満足しているのか、どうだったのか、推測するしかできないのですが、この問題を放っておいたことは確かなことです。教会は、主イエス・キリストの体であって、教会員は一つ一つの部分です。信徒に関わる忌むべきこと「罪」は、キリストの体を汚すことだからなのです。悲しむべきなのです。


 罪に対してわたしたちは悲しむ心を持っています。もちろん自分自身のことは言うまでもありませんが、もし自分自身がそうであったなら、その罪を恥として、神の前に懺悔して悲しむでしょう。同時に愛する兄弟姉妹たちが、罪を犯しているならばどうでしょう。そのことについても、わたしたちならば悲しむことでしょう。その人のために主に祈ると思うのです。ところが、コリントの人たちは、悲しむどころか無関心であったようなのです。自分たちだけは信仰に生きていると思っていたのかも知れませんが、それでは、神の家族とは言えないでしょう。神に仕え、御心を伝えようとする教会にとって、その罪に背を向ける事は、自分たちの信仰する主イエス・キリストに背を向けることになるからです。その罪の怖さを「パン種」に例えてパウロは伝えようとするのです。「パン種」というのは、発酵したパン生地の中のひとつ、パン生地の一片ということになります。一片と言っても、他の部分と正確に違いが分かるものではありません。パウロは、コリントの一人の罪を「パン種」とし、教会をパン生地に見立て、教会の腐敗を発酵と置き換えたのです。 「あなたがたが誇っているのは、よくない。わずかなパン種が練り粉全体を膨らませることを、知らないのですか。」罪もそれと同じように、ほんの小さな「パン種」、ほんの小さな罪が全体を膨らませ、影響を及ぼすのです。わたしたち教会は、イエス様の十字架の救いによって混じりけのない綺麗なパン生地になったのです。キリストの御手を離さないように、信仰の道を、歩ませていただきましょう。