礼拝メッセージ(2018年3月11日)
「精一杯のささげもの」
マルコによる福音書:14章3節~9節
林 健一 牧師
東日本大震災から7年
2011年3月11日の東日本大震災から7年が経ちました。今日被災地ではこの日を覚え多くの方たちの祈りがささげられています。あの震災で多くの尊い命が失われました。今も行方がわからない人たちもいます。7年が過ぎても故郷に戻ることができない人たちがいます。もう過去の出来事としてあの震災は人々の記憶から忘れ去られてしまったかのようです。たとえ人々があの震災を忘れてしまっても決して忘れはしないお方がいることを私たちは知っています。そのお方はあの日から苦しみを共にされ、愛する人を失った悲しみを共にされるお方です。主イエス・キリストは被災された方たちと共におられます。主イエス様が共におられるところに慰めも豊かにあることを私たちは知るのです。
身を犠牲にしてまで
あの日の午後2時46分 大きな揺れが起きました。揺れはおさまるどころかますます激しくなりました。街中の電気は消え、多くの人々が不安な様子で外に出ていました。この後、津波が鮫の街を襲いました。真っ暗い中、私たちは何が起きているのかも知ることができず不安な日を過ごしました。2日後の日曜日、電気がついて教会の人たちと安堵したのも束の間、テレビで目にしたのは信じられない光景でした。あの津波の中に友人や家族、知り合いがいるかもしれない絶望と悲しみで私たちは神様にすがるような思いで礼拝を献げました。そんな私たちのところへ函館美原教会の福田雅祥牧師が尋ねて来て下さいました。震災から一週間しか経っていない、いつ余震がくるかもしれない危険な中を来て下さいました。続いて北海道連合の皆さんがガソリンや物資を持ってきて下さいました。身の危険も顧みずにただ私たちを心配し助けに来て下さったのです。私たちは本当に慰められました。
ただイエス様を愛するがゆえに
今日読んだ聖書の箇所は一人の女性がイエス様に香油を注ぐ場面です。彼女はイエス様のために高価な、当時では手に入れることが難しい貴重なナルドの香油を持ってきました。ここに彼女のイエス様に対する惜しみない愛を見ることができます。私たちは自分にとって一番価値あると思うものに時間と労力、心を注ぎます。
あの震災の日から東北の被災地に多くの人々がボランティアに来て下さいました。全国の諸教会の皆さんの熱い祈りがありました。現地にいる教会に慰めのメッセージを届けてくださいました。物資や支援など多くの助けがありました。しかし、人々の愛する思いほど震災によって打ちひしがれた人たちの支えになったものはありませんでした。ナルドの香油が私たちに語るメッセージは物に込められたイエス様を愛する心の尊さです。神様が私たちに願っていることは神様を愛する心の尊さです。兄弟姉妹を愛する心の尊さです。