礼拝メッセージ(2022年2月20日)
『 主の名によって来られる方 』
 林健一 牧師 
ルカによる福音書 13章:31節~35節

 13章 31節:ちょうどそのとき、ファリサイ派の人々が何人か近寄って来て、イエスに言った。「ここを立ち去ってください。ヘロデがあなたを殺そうとしています。」

13章 32節:イエスは言われた。「行って、あの狐に、『今日も明日も、悪霊を追い出し、病気をいやし、三日目にすべてを終える』とわたしが言ったと伝えなさい。

13章 33節:だが、わたしは今日も明日も、その次の日も自分の道を進まねばならない。預言者がエルサレム以外の所で死ぬことは、ありえないからだ。

13章 34節:エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、自分に遣わされた人々を石で打ち殺す者よ、めん鳥が雛を羽の下に集めるように、わたしはお前の子らを何度集めようとしたことか。だが、お前たちは応じようとしなかった。

13章 35節:見よ、お前たちの家は見捨てられる。言っておくが、お前たちは、『主の名によって来られる方に、祝福があるように』と言う時が来るまで、決してわたしを見ることがない。」

ルカによる福音書 13章:31節~35節(新共同訳)

 ファリサイ派の人々が何人か近寄って来て、主イエスに忠告をします。「ここを立ち去ってください。ヘロデがあなたを殺そうとしています」(31節)。このファリサイ派の人たちが、いったいどんな意図でこんなことを主イエスに告げたのかわかりません。ただ、たとえそれがどんな意図で話されたにしても、そのいずれの思いも、今ここで語り、働いておられる主イエスの御心をまったく理解できていませんでした。

 さらに言うならば、「ここを立ち去ってください」という勧めの言葉の背後には、自分たちの生活している世界に、主イエスが入ってくることを喜ばない気持ちが隠れているのではないでしょうか。ここに出てくるヘロデは、ヘロデ・アンティパスと呼ばれる王で、父親のヘロデ大王の死後、ガリラヤとペレアを治めていた人物です。主イエスが今旅をしているその道もまた、ガリラヤやペレアの領内を進み行くものであったのでしょう。彼にとって、主イエスがガリラヤやペレア、エルサレムで活動することは面白いことではなかった。気に食わないことであったのです。

 「こっちに来るな、入ってくるな。あっちへ行け。ここは私が主人、私が王様である土地だ。だれにも邪魔はさせない」と叫びながら、近づいてくる主イエスを、中に入ってこようとする神の言葉を、拒んでいるのです。礼拝に生きる神の民だと自分自身思っている、その私たちの中でも起こりえることです。

 しかしそれでも、主の歩みは止められたりはしません。エルサレムでこそ成し遂げられねばならないこと、果たされなければならないことがあるということを、主はご存知なのです。たとえそれを邪魔する人間の言葉、人間の思いがどんなに押し寄せてこようとも、主イエスの歩みはそれをも乗り越えて進み続けるのです。「わたしは今日も明日も、その次の日も自分の道を進まねばならない」。御言葉を拒み、自分が支配者であり続けたいという思いにも負けることなく、私たちの中に突き入ってくださり、私たちの中でも御業を成し遂げてくださるのです。