礼拝メッセージ(2022年6月12日)
『 戻って来た外国人 』
 林健一 牧師 
ルカによる福音書 17章:11節~19節

17章 11節:イエスはエルサレムへ上る途中、サマリアとガリラヤの間を通られた。

17章 12節:ある村に入ると、重い皮膚病を患っている十人の人が出迎え、遠くの方に立ち止まったまま、

17章 13節:声を張り上げて、「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください」と言った。

17章 14節:イエスは重い皮膚病を患っている人たちを見て、「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」と言われた。彼らは、そこへ行く途中で清くされた。

17章 15節:その中の一人は、自分がいやされたのを知って、大声で神を賛美しながら戻って来た。

17章 16節:そして、イエスの足もとにひれ伏して感謝した。この人はサマリア人だった。

17章 17節:そこで、イエスは言われた。「清くされたのは十人ではなかったか。ほかの九人はどこにいるのか。

17章 18節:この外国人のほかに、神を賛美するために戻って来た者はいないのか。」

17章 19節:それから、イエスはその人に言われた。「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。」

ルカによる福音書 17章:11節~19節(新共同訳)

 

 本日ご一緒に読みますルカによる福音書第17章11節以下の冒頭に、「イエスはエルサレムへ上る途中、サマリアとガリラヤの間を通られた」とあります。ここで私たちは、主イエスさまが今、エルサレムへと上る旅の途中にあられたことを思い起こされます。9章51節からエルサレムに向かう決意を固められた主イエスさまの姿が描かれています。9章ではイエスさまが「神のメシア」ペトロの信仰告白、続いて「苦難と復活のメシア」であるメシアとしての使命をイエスさまは弟子たちに語られました。メシアとしての使命を果たすためにひたすらエルサレムへ向かっての旅がここでも描き続けられています。


 さて、きょうの出来事に登場するのは重い皮膚病を患った十人の人たちです。そのなかの一人はサマリア人でした。「重い皮膚病」を患い、「サマリア人」であるというのは、当時のユダヤ人社会から見れば二重の意味で忌み嫌われていた存在でありました。病気が感染するということだけでなく宗教的、社会的に汚れている、排除されている存在でもあったのです。このサマリア人を含む彼らに主イエスさまは「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」と言われました。主イエスさまの言葉に従って出て行った彼らの体に明らかな変化が起こりました。祭司のところへ行く途中で癒されたのです。彼らのうちの一人であるサマリア人だけがイエスさまに感謝を言うために戻ってきました。


 主イエスさまはサマリア人に「立ちあがって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った」戻ってこなかった9人に信仰がなかったわけではありません。しかし、サマリア人には彼らにはない信仰がありました。それはイエス・キリストに対する感謝と信頼です。主イエスさまのもとに戻って来ること、そして神さまを賛美し、感謝し、礼拝をすることこそが、私たちを救う信仰なのです。主イエス・キリストのもとにひれ伏して礼拝することにこそ、私たちの救いはあるのです。この信仰による救いにあずかったのが一人のサマリア人だったことは、この救いにあずかることが人間の側の何の条件にもよらないことを示しています。神の民としての純粋さを失った者たちとしてユダヤ人から蔑まれ、お前たちの信仰も礼拝も正しくないと批判されていたサマリア人です。しかし主イエスさまのもとに戻って来て礼拝をささげることによって、彼は信仰による救いにあずかったのです。私たちもこのサマリア人の信仰と同じ信仰を持ちたいものです。