礼拝メッセージ(2020年8月2日)

『 ご指名です 』   ルカによる福音書 6:14~16  林健一 牧師

 主イエスに指名された十二弟子
 主イエスが祈りによって選びだした十二人の弟子たちはいったいどのような人たちだったのでしょうか。主イエスに指名された人たちだからさぞ信仰が篤く人格も立派な人たちでしたでしょうか?十二人の名前が一人一人記されています。イエスさまが選び出した一人一人は個性が豊かで様々な背景を持っていた人たちでした。誰一人立派な人格や態度を持っていたわけではありません。反対に人々に嫌われ乱暴者だったり、失敗や勘違いを繰り返してイエスさまを呆れさせ・・・そんなことを繰り返している人たちです。しかも挙句の果てには十字架の時に怖くなって裏切り見捨てて逃げ出してしまった人たちなのです。

 とんでもない人たちを指名した?
 あららとんでもない人たちが弟子に選ばれてしまった! しかし私たちが忘れていけないのは彼らを主は徹夜の祈りを経て選ばれたのでした。それを父なる神も善しとされたということです。間違いなく彼らは主イエスが名を持って呼び出した一人一人なのです。誰一人として立派な人物、優れた人格の持ち主はいません。そのくせ誰が一番偉いかといって議論を始めました。あの弟子は特別扱いされたと妬みやすい人たちの集まりでした。「やれやれ、大変な人たちを選んでしまった」と大きなため息をつきたくなるでしょう。徹夜で祈って選んだ人たちがこんな人たちなのか、とため息をつきたくもなります。

 ご指名です!
 主がこのような十二人を選んだのは決して偶然ではありません。主は決断を誤ってしまったのではないのです。大いなる確信をもってこれで善しとして選び出されたのがこの十二人なのです。それは今を生きるこの私たちもこの選びの中に入れていただくためなのです。到底ふさわしくない信仰の浮き沈み多く悩みや欠けに満ちた私たち、信仰薄く何か試練が起こるとたちどころに不安になって心が萎えてしまう私たち、暴力と憎み争う世界に頭を抱える私たち、そんな私たちを呼び集め用いるために主はあのような十二を選ばれたのです。彼ら一人一人の弱さや破れのすべてをよくご存知で主は彼らを使徒とすることをよしとされたのです。イエス・キリストがこの地上に来られたのは高い所に留まり続けているのではなく私たちの中に入ってきて、私たちと関係を結ぶことを義なる神が善しとしてくださったからなのです。これこそが聖書の語る愛です。
 この使徒たちが聖霊の息吹に生かされて初代のキリスト教会が建て上げられ伝道が推し進められてきました。何のとりえもない弱さと破れを抱えたやぶれかぶれの罪人、そのような者たちが背きの罪を赦されて自由の霊に支えられつつ伝道のわざに大いに用いられるのです。同じことが今、私たちの身にも起こります。私たち一人一人も主イエスの祈りのなかで選ばれたのです。使徒たちのように不完全でつまずき主イエスをはらはらさせるでしょうが、そのような私たちを主イエスは関係をもってしっかりと導いてくださるのです。今週一週間も私たちはイエス・キリストに信頼して歩みましょう。お祈りいたします。