礼拝メッセージ(2021年2月14日)

『 レギオン 』 ルカによる福音書 8章:26~33節  林健一 牧師

  主イエス様の一行はガリラヤ湖での嵐の出来事から対岸のゲラサ人の地に渡りました。このゲラサ人の地というのは地図でみるとデカポリス地帯のなかの一つの町でありました。「ガリラヤの向こう岸」という表現になっています。神様から遠く離れた異教徒の地、距離においても神様との関係においても遠く離れた場所であるということをルカは伝えたかったのだと思います。ですがその遠く離れた地に主イエス様はやって来られたのです。それは悪霊に取りつかれた一人の男を救うためでした。

 悪霊に取りつかれた人は、衣服を着ず、家に住まないで墓場を住まいとしていました。私は「長い間」とはどれぐらいの期間なのか、他の訳も見てみたのですが書いてありませんでした。この人はどれだけの月日、このような人生を送ってきたのでしょうか。この人は家でなく墓場を住まいとしていたのです。生きている人のなかにではなく死んだ人たちのなかに身を置いていたのでした。

 ここでいう「捕えた」と訳されたギリシャ語「スナルパゾー」という動詞です。力をもって捕える、無理やり捕まえることを意味します。人間とは抗することができない存在に捕えられることがあるのです。主イエス様は私たちが信じる、信じないにかかわらずこの世界は悪魔である偽りの父に支配されており本来つくられた目的でもある人間にあたえられた父なる神様の愛のなかで生きていく、真の歩みをしていないことを語るのです。偽りの関係からは偽りのものしか生まれてきません。主イエス様の時代も、現代もそういう点において悪霊に取りつかれて自分を失っている人はたくさんいるのです。

 じつに人間とは哀れな存在であることを知るのです。しかしこの人は主イエス様と出会うのです。「出会う」短い言葉ですが希望です。主イエス様に出会うなら希望があるのです。救いがあるのです。悪霊たちは主イエス様をまえにして最後は自滅するしか道はありませんでした。ただ私たちに必要なことは主イエス様の御前にひれ伏し続けるということです。後は主イエス様が私たちを悪から解放し救ってくださるのです。主イエス様の圧倒的な力を信頼して待ち続けましょう。