礼拝メッセージ(2021年2月7日)

『 命じれば風も波も従う 』 ルカによる福音書 8章:22~25節  林健一 牧師

 主イエスは弟子たちと一緒に舟に乗り「湖の向こう岸に渡ろう」と言われ一行は船出します。主イエスが行こうとした向こう岸は異邦人が住んでいるゲラサ人の地でした。その地にも福音を伝えるために主イエスは働き続けるのです。湖を渡っている間に、主イエスは眠ってしまわれました。その時、突風のために舟が沈みそうになり、弟子たちは慌てふためいて「先生、先生、おぼれそうです」(24)起こしました。主イエスの一言で風も波も収まって凪になるという、奇跡の出来事であります。

 この出来事はマタイ、マルコ、ルカ、三つの共観福音書のすべてに記されています。この出来事を通して主イエスが弟子たちに問われたことは「信仰」でした。「あなたがたの信仰はどこにあるのか」(25)。マルコ福音書では「まだ信じないのか」(マル4:40)、主イエスが弟子たちに問う「信仰」それはこれだけ一緒に共に歩んでいながら、「まだ」私を信じられないかという意味の信仰です。「あなたがたの」私に対する「信仰はどこにあるのか」という問いです。弟子たちは主イエスが神であることを信じることができませんでした。
 風と荒波を一言で静めた主イエスに弟子たちは恐れ驚いて「いったい、この方はどなたなのだろう。命じれば風も波も従うではないか」(25)。特に旧約聖書では天と地と海を創造された神だけが自由に風も波も命じて従わられるということを幾つものところ(出エジプト、詩篇など)で証言しています。弟子たちは「主イエスというお方はやはり神様なのだ」と。弟子たちにとって、このときの深い恐れと驚きを伴った体験は生涯忘れることができない神体験となったのでした。

 弟子たちは眠っていた主イエスを見てうろたえたことでしょう。いつまで眠っているのか。私たちも神に対しうろたえてしまうことがあります。しかし、舟には主イエス・キリストが弟子たちと共におられたのです。聖書学者のベンゲルが述べた有名な言葉に、『舟は揺れる、しかし、沈まない』という言葉があります。私たち教会の歩みは今日の弟子たちが乗った舟のように揺れ動くことを経験することばかりです。だからこそ主イエスは神である。との信仰に立っていきたいのです。