礼拝メッセージ(2021年8月8日)

『 必要なことはただ一つ 』 ルカによる福音書 10章:38~42節  林健一 牧師

 今日の聖書にマルタとマリアという姉妹が出てきます。ルカによる福音書では彼女たちが住んでいたのは「ある村」としか書かれていませんが、ヨハネによる福音書では彼女たちはベタニヤというエルサレムに近い村に住んでいたことが書かれています。

 イエスさまを迎え入れたこの二人の姉妹の態度は対照的です。姉のマルタは出来るかぎりのもてなしをしようとして忙しく働いています。「一行が」とあるように、マルタの家を訪れたのはイエス様一人ではなく何人かの同伴者もいたようです。その人たちの食事などのもてなしの用意でとても忙しかったのでしょう。マルタは自分がこんなに忙しくしているのに、手伝おうとしないで、イエスさまのそばでじっと話を聞いているマリアのことでいらいらしてきます。

 マルタはイエスさまにむかって、妹に手伝いをするように言ってくれと頼みます。これに対しイエスさまはマルタの期待したことをしてくれません。イエスさまはマルタに向かって次のように言ったのです。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。しかし必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」(42節)
ここからしばしば教会ではマルタとマリアどちらが神さまに喜ばれているのか、御言葉を聞くことと誰かをもてなすというようないろんな奉仕とどちらが大切なのかというような解釈をしてきました。「自分はマルタかマリアか」という問いかけを教会の中でよく私たちはします。

 しかし、イエスさまは「必要なことはただ一つだけである」とマルタに言ったのです。イエスさまはどちらがよいか?というようなことではなく本当に必要なこととは何であるのかということをマルタに気づいてほしかったのです。現代に生きる私たちもまた、マルタのように「多くのことに思い悩み、心乱している。」ことはないでしょうか。このマルタへのイエスさまの言葉は私たちにも向けられているのではないでしょうか。イエスさまとマルタの会話から、「必要なこと」とは何であるのか聞いていきたいと思います。