礼拝メッセージ(2022年9月25日)
『 子ろばの主 』
林健一 牧師
ルカによる福音書 19章:28節~36節
19章 28節:イエスはこのように話してから、先に立って進み、エルサレムに上って行かれた。
19章 29節:そして、「オリーブ畑」と呼ばれる山のふもとにあるベトファゲとベタニアに近づいたとき、二人の弟子を使いに出そうとして、
19章 30節:言われた。「向こうの村へ行きなさい。そこに入ると、まだだれも乗ったことのない子ろばのつないであるのが見つかる。それをほどいて、引いて来なさい。
19章 31節:もし、だれかが、『なぜほどくのか』と尋ねたら、『主がお入り用なのです』と言いなさい。」
19章 32節:使いに出された者たちが出かけて行くと、言われたとおりであった。
19章 33節:ろばの子をほどいていると、その持ち主たちが、「なぜ、子ろばをほどくのか」と言った。
19章 34節:二人は、「主がお入り用なのです」と言った。
19章 35節:そして、子ろばをイエスのところに引いて来て、その上に自分の服をかけ、イエスをお乗せした。
19章 36節:イエスが進んで行かれると、人々は自分の服を道に敷いた。
ルカによる福音書 19章:28節~36節(新共同訳)
イエスさまは、エリコの町のザアカイの家を出られて、弟子たちと一緒にエルサレムへ上って行かれました。今日の箇所では、イエスさまが子ロバに乗ってエルサレムの町に入って行く。その途中の様子までが書かれています。イエスさまがロバにまたがり、おおぜいの弟子たちが歓呼の声をもってエルサレム入城を喜び叫びます。ここで注目すべきなのは、イエスさまが乗られたのが「子ロバ」すなわちロバの子であったということです。
この当時、王が乗る者と言えば馬です。馬はロバよりもはるかに大きく、堂々としています。しかしイエスさまはロバに、しかも子ロバに乗られました。馬は王や貴族が乗り、また軍隊の騎兵隊が乗ります。しかしロバは庶民の乗り物でした。しかも、子ロバに乗って群衆の中を進むイエスさまの姿は、群衆の中に紛れ込んでしまって、よく見えません。馬に乗って、上から群衆を見下ろし、君臨する王ではありません。私たち一人一人と同じ所を進まれる王です。私たちとつながってくださる王です。私たちを救う王です。
真の王が都に入城されるためには、何の役にも立ちそうもない、馬と比べてまったく見栄えのしない、子ロバをお用いになりました。「主がお入り用なのです」と言わせました。私たちもまた、主のご用のために、何の役にも立ちそうもないものかもしれません。欠けたところだらけの人間です。失敗ばかりしているかもしれません。しかし問題はそういうことではありません。「主がお入り用」であるということです。私たちには分からなくても、神さまの側には私たちを必要とする理由があるということです。そのことを今日の聖書は教えてくれます。
私たちを主の弟子としてくださったのは、主イエスさまご自身です。イエスさまは言われました。「あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだ。」(ヨハネ15:16)私たちがイエスさまを選んだと思っておられるかもしれませんが、そうではありません。イエスさまが私たちをお選びになったから、私たちは主を信じることができたのです。私たちは、私たちのような者をも救ってくださるイエスさまを証しする器として、イエスさまをお乗せするロバの子として用いられるのです。