礼拝メッセージ(2023年1月1日)
『 忍耐によって命をかち取れ 』 林健一 牧師
ルカによる福音書 21章:10節~19節
21章 10節:そして更に、言われた。「民は民に、国は国に敵対して立ち上がる。
21章 11節:そして、大きな地震があり、方々に飢饉や疫病が起こり、恐ろしい現象や著しい徴が天に現れる。
21章 12節:しかし、これらのことがすべて起こる前に、人々はあなたがたに手を下して迫害し、会堂や牢に引き渡し、わたしの名のために王や総督の前に引っ張って行く。
21章 13節:それはあなたがたにとって証しをする機会となる。
21章 14節:だから、前もって弁明の準備をするまいと、心に決めなさい。
21章 15節:どんな反対者でも、対抗も反論もできないような言葉と知恵を、わたしがあなたがたに授けるからである。
21章 16節:あなたがたは親、兄弟、親族、友人にまで裏切られる。中には殺される者もいる。
21章 17節:また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。
21章 18節:しかし、あなたがたの髪の毛の一本も決してなくならない。
21章 19節:忍耐によって、あなたがたは命をかち取りなさい。」
ルカによる福音書 21章:10節~19節(新共同訳)
私たちは今、エルサレム神殿の崩壊に直面した当時のイスラエルの民とある意味で同じような事態と向き合っています。世界を襲った新型コロナウイルスによって私たちは、一つの時代、価値観、生き方の終わりを意識させられています。今や新しい時代、価値観、生き方が求められているのです。何が終わったのか、あるいは終わらせなければならないのかを私たちは今考えさせられており、またこれからどのような時代を、どのような生き方を築いていかなければならないのかを模索しています。そのような時に直面している私たちに、主イエスのこの「脅えてはならない」というみ言葉は大いなる慰めと励ましを与えてくれます。一つの時代が終わりを迎え、今私たちには新しい生き方が求められている、つまり変わることが求められているのです。その変化に直面して私たちは戸惑いを覚え、不安になり、恐れ、脅えます。しかし時代が、生活が、私たちの営みが、どんなに変わっていくとしても、この世界自体の終わりではないのです。「世の終わりはすぐには来ない」、つまり神さまが造り支配しておられるこの世の歩みは、時代の変化、移り変わりを超えてなお続いていくのです。神さまのみ業はなお前進していくのです。それを信じて、その神さまの新しいみ業についていくことが、今私たちに求められているのです。
主イエスさまはここで、この世の終わりに向かう歩みにおいて生じる二種類の苦しみを見つめておられます。一つは、人災や天災によって生じる災いによる苦しみです。それは全ての人に共通して襲って来る苦しみであると言えます。しかしそれと並んで、信仰者が、信仰のゆえに受ける苦しみがあると語っておられるのです。それは信仰者のみが体験する苦しみであり、主イエスさまを信じ従っていないならば受けることのない苦しみです。信仰をもって生きる時に、あなたがたはそういう苦しみをも必ず体験することになる、と主イエスは言っておられるのです。第一の、全ての人に共通する災い、苦しみを見つめつつ主イエスがお与えになった勧めは、あの「脅えてはならない」でした。第二の、信仰者のみが体験する苦しみを見つめつつ語られている勧めは何でしょうか。それが19節の「忍耐によって、あなたがたは命をかち取りなさい」なのです。