礼拝メッセージ(2023年2月19日)
『 過越の食事の準備 』 林健一 牧師
ルカによる福音書 22章:7節~13節

22章 07節:過越の小羊を屠るべき除酵祭の日が来た。

22章 08節:イエスはペトロとヨハネとを使いに出そうとして、「行って過越の食事ができるように準備しなさい」と言われた。

22章 09節:二人が、「どこに用意いたしましょうか」と言うと、

22章 10節:イエスは言われた。「都に入ると、水がめを運んでいる男に出会う。その人が入る家までついて行き、

22章 11節:家の主人にはこう言いなさい。『先生が、「弟子たちと一緒に過越の食事をする部屋はどこか」とあなたに言っています。』

22章 12節:すると、席の整った二階の広間を見せてくれるから、そこに準備をしておきなさい。」

22章 13節:二人が行ってみると、イエスが言われたとおりだったので、過越の食事を準備した。

ルカによる福音書 22章:7節~13節(新共同訳)

 

 きょうの個所は過越の祭り当日の出来事です。その日から七日間、酵母を使わないパンを食べるところから、除酵祭とも呼ばれています。過越の祭りは、ユダヤ人にとっては民族の救いを記念するもっとも重要な祭りで、その日、小羊を屠って家族で食事を共にするのが、この祭りの大切な要素の一つでした。ルカによる福音書では、この過越の食事の準備は、主イエスさまが主導的な立場で進めます。弟子たちにとっては、この過越の食事はいつもの年と変わらない毎年繰り返される祭りの食事であった違いありません。そういうつもりで今夜の過越の食事を考えていたことでしょう。しかし、主イエスさまにとってはそうではありませんでした。22章15節にはこう記されています。「イエスは言われた。「苦しみを受ける前に、あなたがたと共にこの過越の食事をしたいと、わたしは切に願っていた。」主イエスさまはそれまでに何度も弟子たちに予告されていたように祭司長や律法学者ちから苦しみを受け、十字架刑で殺されることを知っていました。二度と弟子たちと共にすることができない過越の食事の機会であったので、誰にも妨げられることがなく共に食事をすることができるようにと切に願われていたのです。ですから食事の場所には特別な準備がなされました。


 祭司長や律法学者たちの殺意と、しかし民衆を恐れる思いをも超えて、また弟子たちの中の一人を裏切らせるというサタンの残酷な意図と力をも用いて、神さまは主イエス・キリストが過越祭、除酵祭のさなかに十字架につけられて死ぬという救いの出来事を実現しようとしておられます。この父なる神さまの救いのご計画が前進していく中で、主イエスさまご自身も、過越の食事を用意してそこに弟子たちを招いて下さっています。過越の小羊として十字架にかかって死んで下さった主イエスさまの救いにあずかり、また過越の小羊として流して下さった主イエスさまの血によって神さまが結んで下さる新しい契約にあずかるための主の晩餐を定めて下さったのです。この起原は、主イエスさまが弟子たちを招いてあずからせて下さった過越の食事にあります。主イエスさまは私たちのためにこの主の晩餐の食卓を整え、招いて下さっているのです。主イエスさまの招きに応えるところにこそ、主イエスさまの十字架の死によって罪を赦され、その支配から解放されて、神さまを愛し、そして隣人を愛して生きる道が開かれていくのです。