礼拝メッセージ(2023年3月19日)
『 信仰が無くならないように 』 林健一 牧師
ルカによる福音書 22章:31節~34節
22章 31節:「シモン、シモン、サタンはあなたがたを、小麦のようにふるいにかけることを神に願って聞き入れられた。
22章 32節:しかし、わたしはあなたのために、信仰が無くならないように祈った。だから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」
22章 33節:するとシモンは、「主よ、御一緒になら、牢に入っても死んでもよいと覚悟しております」と言った。
22章 34節:イエスは言われた。「ペトロ、言っておくが、あなたは今日、鶏が鳴くまでに、三度わたしを知らないと言うだろう。」
ルカによる福音書 22章:31節~34節(新共同訳)
本日の箇所は、シモン・ペトロに主イエス様が語っている場面です。「シモン、シモン」と二度繰り返し彼の名を呼んでおられます。31節「サタンはあなたがたを、小麦のようにふるいにかけることを神に願って聞き入れられた」。「サタン」はこの福音書の第4章に出てくる、主イエス様を荒れ野で誘惑した「悪魔」と同じ存在であると考えてよいでしょう。一時主イエス様を離れていたサタンが、いよいよ時が来たとばかりに活動を開始したのです。それによってユダの裏切りが起り、主イエス様の逮捕と十字架の死が目前に迫っているのです。そのサタンが、あなたがたを小麦のようにふるいにかけようとしている、と言っておられます。
しかし同時に示されているのは、サタンはそのことを、「神に願って聞き入れられた」のだということです。つまりサタンはこのことを、神の許可によって行うのです。サタンにふるいにかけられた結果、ペトロら弟子たちがどうなるかははっきりしています。主イエス様に従い通すことはできず、みんな逃げ去ってしまい、彼らは信仰に挫折するのです。主イエス様はそのことをよくご存知でした。それゆえに32節で、「しかし、わたしはあなたのために、信仰が無くならないように祈った」と言っておられます。しかしペトロは、主イエス様のこの前提を受け入れることができません。「いやわたしは、サタンにふるいにかけられても、挫折したりはしません。どこまでもあなたに従っていく覚悟です」と言うのです。それが33節です。
ペトロの信仰が無くならないように、彼がこの挫折においてもなお、信仰者として歩み続けることができるように、主イエス様は祈っておられるのです。しかし、彼の信仰が無くならないとはどういうことなのでしょうか。主イエス様を三度知らないと言い、主イエス様との関係を徹底的に否定したペトロに、いったいどんな信仰が残っているというのでしょうか。
主イエス様が彼のために祈って下さる、その祈りによって神様から与えられる信仰に生きることでしかありません。それはもはや、自分の覚悟や決意によって生きることではありません。神様が、独り子イエス・キリストによって成し遂げ、与えて下さる救い、罪の赦しの恵みをいただいて、それによって生かされるという信仰です。それが、主イエス様が彼に与えようとしておられる全く新しい信仰、いや、実はそれこそが、神様がもともと私たちに与え、それによって私たちを生かそうとしておられる真実な信仰なのです。