礼拝メッセージ(2023年3月12日)
『 だれがいちばん偉いか 』 林健一 牧師
ルカによる福音書 22章:21節~30節

22章 21節:しかし、見よ、わたしを裏切る者が、わたしと一緒に手を食卓に置いている。

22章 22節:人の子は、定められたとおり去って行く。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。」

22章 23節:そこで使徒たちは、自分たちのうち、いったいだれが、そんなことをしようとしているのかと互いに議論をし始めた。

22章 24節:また、使徒たちの間に、自分たちのうちでだれがいちばん偉いだろうか、という議論も起こった。

22章 25節:そこで、イエスは言われた。「異邦人の間では、王が民を支配し、民の上に権力を振るう者が守護者と呼ばれている。

22章 26節:しかし、あなたがたはそれではいけない。あなたがたの中でいちばん偉い人は、いちばん若い者のようになり、上に立つ人は、仕える者のようになりなさい。

22章 27節:食事の席に着く人と給仕する者とは、どちらが偉いか。食事の席に着く人ではないか。しかし、わたしはあなたがたの中で、いわば給仕する者である。

22章 28節:あなたがたは、わたしが種々の試練に遭ったとき、絶えずわたしと一緒に踏みとどまってくれた。

22章 29節:だから、わたしの父がわたしに支配権をゆだねてくださったように、わたしもあなたがたにそれをゆだねる。

22章 30節:あなたがたは、わたしの国でわたしの食事の席に着いて飲み食いを共にし、王座に座ってイスラエルの十二部族を治めることになる。」

ルカによる福音書 22章:21節~30節(新共同訳)

 今日の聖書を読みますと、最初のところで23節「使徒たちの間に、自分たちのうちで誰が一番偉いだろうか、という議論も起こった」と書かれています。なぜこんな議論が起こったのか。最後の晩餐の席で、主イエス様が、弟子の裏切りの予告をなさいました。それを聞いて、使徒たちは、自分たちのうちいったい誰がそんなことをしようとしているのかと互いに議論をし始めたと書かれています。自分たちのうち、いったい誰が主イエス様を裏切ろうとしているのか。そんなことを言い合っているうちに、それがいつの間にか、自分たちのうちで誰が一番偉いかという話になったというのです。


 26節で「あなたがたの中でいちばん偉い人は、いちばん若い者のようになり、上に立つ人は、仕える者のようになりなさい」と主イエス様は使徒たちに言われます。この御言葉は、偉い人や上に立つ人の存在を否定していません。それを認めており、そのような立場に着く人はこうしなさい、という勧めを語っているのです。この「仕える者になる」ということの内容をさらに明確にするために、27節では「食事の席に着く人と給仕する者」というたとえが用いられています。「食事の席に着く」と訳されている言葉は「横たわる」という意味の言葉です。26節の「仕える者」という言葉と、27節の「給仕する者」とは原文においては全く同じ言葉です。そしてその言葉から後に「執事」という教会の一つの務めを表す言葉が生まれました。執事とは、「仕える者、給仕する者」という意味の言葉なのです。そして大事なことは、主イエス様が、「わたしはあなたがたの中で、いわば給仕する者である」と言っておられることです。主イエス様ご自身が、弟子たちの中で、支配し、権力を振るう者のようにではなく、仕える者、給仕する者として歩んで下さっているのです。


 神様と隣人とに仕えて生きることは私たちの信仰の基本です。ですから全ての信仰者は仕える者として生きるのです。私たちの主イエス・キリストは、十字架にかかって死んで下さることによって私たちに仕えて下さり、私たちを罪の支配から解放し、神様と隣人とに仕えて生きることができるようにして下さいました。そして主の晩餐の食卓へと私たちを招き、ご自分の体と血とによる救いを味わうためのパンと杯を私たちに給仕して下さっています。私たちに仕え、給仕して下さっている主イエス様の恵みの中で、私たちも、神様と隣人とに仕える者として生きていくのです。