礼拝メッセージ(2022年11月13日)
『 神のものは神に返せ 』
林健一 牧師
ルカによる福音書 20章:20節~26節

20章 20節:そこで、機会をねらっていた彼らは、正しい人を装う回し者を遣わし、イエスの言葉じりをとらえ、総督の支配と権力にイエスを渡そうとした。

20章 21節:回し者らはイエスに尋ねた。「先生、わたしたちは、あなたがおっしゃることも、教えてくださることも正しく、また、えこひいきなしに、真理に基づいて神の道を教えておられることを知っています。

20章 22節:ところで、わたしたちが皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか、適っていないでしょうか。」

20章 23節:イエスは彼らのたくらみを見抜いて言われた。

20章 24節:「デナリオン銀貨を見せなさい。そこには、だれの肖像と銘があるか。」彼らが「皇帝のものです」と言うと、

20章 25節:イエスは言われた。「それならば、皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」

20章 26節:彼らは民衆の前でイエスの言葉じりをとらえることができず、その答えに驚いて黙ってしまった。

ルカによる福音書 20章:20節~26節(新共同訳)

 彼らは言いました。「先生、わたしたちは、あなたがおっしゃることも、教えてくださることも正しく、また、えこひいきなしに、真理に基づいて神の道を教えておられることを知っています。」‥‥心にもないことをこのように言ったのですから、なんか恐い感じがいたします。人を持ち上げておいて、落とそうというのです。そして彼らはこう質問しました。「ところで、わたしたちが皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか。適っていないでしょうか」。この質問ですが、これはまさにイエスさまを罠にかけるための質問です。


 すると主イエスは言われました。「デナリオン銀貨を見せなさい」。そのデナリオン銀貨を、おそらく手に取られておっしゃいました。「誰の肖像と銘(めい)があるか」と。すると彼らが答えました。「皇帝のものです」と。デナリオン銀貨はローマ帝国の貨幣であり、そこにはローマ皇帝の肖像と銘が刻まれていました。そして主はおっしゃいました。「それならば、皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」。この答えに彼らは返す言葉もなく、沈黙してしまいました。「皇帝のものは皇帝に」という言葉と並んで、「神のものは神に返しなさい」とおっしゃった時、皇帝と神を並べておっしゃったのです。「皇帝と神とどちらが大切か」と言われれば、ユダヤ人はみな「神」と答えるでしょう。それは聖書が求めているものが神への信仰だからです。


 あなたがたは、皇帝のものをさも大切なことであるかのように言っている。枝葉のことを問題にして、大切なことを忘れているではないか。「神のものは神に」とイエスさまが言われた時、「あなたがたは、本当に神のものを神にお返ししているのか?」という悔い改めを求める言葉を、彼らは聴いたに違いありません。「あなたたちはわたしのものとなり、聖なる者となりなさい。」(レビ20:26)神さまによって造れた、神さまのものであるにもかかわらず、わたしたち人間自らが神のものではないかのように思い、神のものを離れていった。それゆえ、神のもとに帰りなさい、神のものとなりなさい、と言われるのです。


 イエスさまがおっしゃった、「神のものは神に返しなさい」という言葉は、そのような言葉として聞こえてまいります。そしてこれはすべての人に対して言われている言葉です。神を信じるように、この言葉を語られたイエスさまを信じるように、そして神と共に生きるように、と。