礼拝メッセージ(2018年6月3日)

「神から与えられた福音」

聖書・コリントの信徒への手紙Ⅱ:2章14節~3章6節

林 健一 牧師

 

本日からコリントの信徒への第二の手紙を読んでいきます。コリント教会が問題をたくさん抱えていたことがコリントの信徒への第一の手紙ですでに学んだところですが、コリント教会を創設したパウロの手紙にもかかわらずそれらの問題は十分に解決されませんでした。特にパウロの使徒としての権威に反発して徒党を組むユダヤ教的思想の者たちがいて、教会は揺れていました。コリント教会の一部の人たちは、パウロの使徒職と彼が伝えた福音さえも認めませんでした。このことはコリント教会の他の教科員たちにとても大きな影響を及ぼしました。パウロはこれに対し、新しい契約(聖書・エレミヤ書31章:31~34節)に仕える者になったという証しと働きの姿勢について話しました。

聖書・コリントの信徒への手紙Ⅱ 3章3節 あなたがたは、キリストがわたしたちを用いてお書きになった手紙として公にされています。墨ではなく生ける神の霊によって、石の板ではなく人の心の板に、書きつけられた手紙です。

パウロの時代、福音を伝える働き人の中には、多くの偽者の働き人がいました。そのため、有力な指導者の推薦状を持っている人だけが認められていました。しかし、パウロにはその推薦状がありませんでした。エルサレム教会の人たちの中に依然として教会を迫害していたパウロのことを信じることができないでいる人たちがいたということでしょう。ユダヤ主義者たちは、自分たちがエルサレム教会の「おもだった人たち」からの「推薦状」(聖書・コリントの信徒への手紙Ⅱ 3章1節)を持っていることを自慢し、パウロはそのような推薦状がないことを指摘しました。パウロは教会の指導者たちからの推薦状を必要としませんでした。その生活と働きぶりこそ、必要な唯一の推薦状でした。パウロはコリント教会の人たちこそが、キリストが書いた手紙だと言います。聖霊は神の御言葉を用いて、それをコリント教会の信徒たちの心に書き留めてくださいます。信仰を持っていない人たちがコリント教会の信徒たちの信仰と人格を通して、神さまの愛、イエス・キリストの救い、聖霊の力が記されているキリストの手紙を知ることができるのです。

聖書・コリントの信徒への手紙Ⅱ 3章5節 もちろん、独りで何かできるなどと思う資格が、自分にあるということではありません。わたしたちの資格は神から与えられたものです。

「私たちの資格は神から与えられたものです」と語りかけるパウロ。福音を語る資格があるのか!とパウロの使徒職に疑問を持つ人たちに対して反論するパウロではありませんでした。むしろ、自分はイエス様に逆らい、イエス様を信じる人たちを迫害するような罪だらけで弱くてどうしようもない人間だということをさらけ出します。そんな自分がイエス様の赦しと招きのもとに一方的にキリストの福音に仕える資格が「私たちに与えられたものと」語られるのです。この資格はパウロ個人だけのものでしょうか?いやそうではありません。私たちもそうなのです。かつて神さまの愛を知らずに自分勝手に歩み、他者を憎み、滅びの中にあった私たちを神さまは一方的な赦しと招きのもとにキリストの福音に仕えていく恵みを与えてくださいました。私たちは何でもできる立派なクリスチャンではないかもしれません。しかし、イエス様に選び招かれ、イエス様によって生きる者となったのです。私たちを生かしてくださる神さまに仕える者としてくださった。こんなにもすばらしい恵みがどこにあるでしょうか。