礼拝メッセージ(2021年11月7日)

『 律法学者の不幸 』  林健一 牧師

そこで、律法の専門家の一人が、「先生、そんなことをおっしゃれば、わたしたちをも侮辱することになります」と言った。

イエスは言われた。「あなたたち律法の専門家も不幸だ。人には背負いきれない重荷を負わせながら、自分では指一本もその重荷に触れようとしないからだ。

あなたたちは不幸だ。自分の先祖が殺した預言者たちの墓を建てているからだ。

こうして、あなたたちは先祖の仕業の証人となり、それに賛成している。先祖は殺し、あなたたちは墓を建てているからである。

だから、神の知恵もこう言っている。『わたしは預言者や使徒たちを遣わすが、人々はその中のある者を殺し、ある者を迫害する。』

こうして、天地創造の時から流されたすべての預言者の血について、今の時代の者たちが責任を問われることになる。

それは、アベルの血から、祭壇と聖所の間で殺されたゼカルヤの血にまで及ぶ。そうだ。言っておくが、今の時代の者たちはその責任を問われる。

あなたたち律法の専門家は不幸だ。知識の鍵を取り上げ、自分が入らないばかりか、入ろうとする人々をも妨げてきたからだ。」

イエスがそこを出て行かれると、律法学者やファリサイ派の人々は激しい敵意を抱き、いろいろの問題でイエスに質問を浴びせ始め、

何か言葉じりをとらえようとねらっていた。

ルカによる福音書  11章:45節~54節(新共同訳)
 
 律法学者たちに対して、イエスさまはファリサイ派に言ったことと同じように「あなたたちは不幸だ」と厳しく非難されました。46節に「あなたたち律法の専門家も不幸だ。人には背負いきれない重荷を負わせながら、自分では指一本もその重荷に触れようとしないからだ」。ここに、律法学者に対するイエスさまの批判、あるいは怒りと言ってもよい思いが示されています。イエスさまの怒りとは、「あなたがたのおかげで、律法は人々の重荷となってしまった」ということです。

 47節「あなたたちは不幸だ。自分の先祖が殺した預言者たちの墓を建てているからだ」とあります。神さまが与えてくださった律法を人間の掟にしてしまい、恵みのみ言葉を人々の重荷にしてしまっているあなたがたは、自らも神のみ言葉に聞き従わず、またそれを人々からも奪い取っている、それは預言者を受け入れずに殺した昔の人々のしたこととあなたがたは同じだと言っておられるのです。

 このように、神様のみ言葉を、み心とは全く違うものへとねじ曲げ、恵みを重荷に変えてしまうことに対するイエスさまの怒りが語られているのです。その怒りはファリサイ派・律法学者たちに向けられています。しかし私たちはイエスさまの怒りを他人事とすることはできないでしょう。私たちもまた、神さまのみ言葉を、み心とは全く違うものへとねじ曲げ、恵みを重荷としてしまっているのではないでしょうか。

 私たちは、神さまの恵みのみ言葉を倫理道徳の教えへとねじ曲げてしまい、自分にとっても隣人にとっても重荷としてしまうようなことを繰り返しています。人に背負いきれない重荷を負わせ、自分では指一本もその重荷に触れようとしないのが私たちの姿です。私たちが信じる信仰は負いきれない重荷を背負わされてあえぎながら生きるような喜びのない歩みではありません。私たちの罪を全て背負って十字架にかかって死んで下さった主イエス・キリストをこそ見つめて生きるのです。そのことによってこそ聖書に記されている神のみ言葉を恵みのみ言葉として読み、聞くことができるのです。