礼拝メッセージ(2019年4月28日)

『 わたしたちの間で実現したこと 』 ルカによる福音書 1章:1~4節 牧師 林健一

私たちが福音の出来事をしっかりと知るために
今日からルカによる福音書を読み進めていきます。ルカによる福音書という読み名から察する人もいるでしょうが、ルカという人物が書いたとされています。福音書にはマタイ・マルコ・ルカ・ヨハネが書かれたことになっています。しかし、はっきりしたことはわかりません。ですから、本当に弟子たちが書いたのかどうか今でも議論されているのです。しかし、このルカだけは本当に彼が書いたのであろうと言われています。というのはルカという人物はマタイ・マルコ・ヨハネに比べて初代教会のなかでも、指導的な地位にいた人ではなかった。ルカは伝道者パウロの傍に常にいて彼の伝道を助けた人でもありました。使徒言行録も彼が書いたであることは否定できないと言われています。
ですから、使徒言行録においてはルカ、彼がパウロたちと共に伝道していくなかで起きた出来事、そしてこのルカによる福音書は彼が初代教会のなかでもしかしたらイエス様の弟子たちであるペテロやヨハネ、またイエス様の母であるマリヤや生前のイエス様と一緒にいた人々から聞いた出来事を初めから順番に記しました。ルカは医者でした。ですから彼の職業的な性格もこの福音書に反映されていると思います。でも皆さんに一番知ってほしいことは、ルカが弟子たちからしっかりと聞いた一つ一つのイエス様の出来事が始めから綿密に調べられ福音書として今、私たちの前にあるということです。ですから、これからルカ福音書を読み進めていく間にルカに起きたイエス様との出会いが私たちにも起こることを期待していきたいと思うのです。
ルカが願っているのは、主イエス・キリストの出来事が、「わたしたちの間で実現した事柄」となることです。つまり、教えが確実なものであることがよく分かるというのは、知識が増えたり整理されることではなくて、主イエス様による救いの御業が、今この時に、私自身のために実現している神様の恵みの御業なのだ、ということが分かることなのです。ルカはテオフィロにそういうことが起ることを願ってこの福音書を書きました。テオフィロだけでなく、この福音書を読む全ての人々に、これからこの福音書を読み進めようとしている私たちにも、そのことが起るために、この福音書は書かれているのです。私たち自身も、主イエス・キリストによる救いの出来事が、今この時に、私たちの間で実現した、自分自身の事柄となることを求めて、この福音書を読み進めていきたいのです。そのことによってこそ、私たちも、力強い伝道の言葉を獲得することができるのです。