礼拝メッセージ(2021年3月14日)

『 十二使徒の派遣 』 ルカによる福音書 9章:1~6節  林健一 牧師

 ルカ9章に入るとイエス様は十二弟子を呼び集め派遣されました。目的は「神の国を宣べ伝え、病人をいやすため」(2)でした。「神の国」とは、神様のご支配という意味です。しかもこのご支配は、何をするか分からない暴君の支配ではなくて、恵みに満ちた、救いを与えて下さるご支配です。そして「病人をいやすため」喜びの知らせが語られるところでは具体的な神の業が現わされるのです。

 イエス様は派遣に際し弟子たちに「…何も持って行ってはならない。…」(3)弟子たちは「神の国を宣べ伝える」この使命のために派遣されるのです。その使命を、自分の備え、蓄え、能力によって果そうとしてはならない、とイエス様は言われます。自分の持っている能力や技術、いろいろな意味での蓄えや豊かさとういうものでなく、ただひたすら、主イエスの力、神様の力に依り頼み、それに信頼して、神の国の福音を、救いの知らせを宣べ伝えなさい、と言われるのです。

 イエス様は弟子たちが具体的に神の国で生きるという証しを通してこそ人々に神の国があなたがたの中に来たことを知ることができるのだと言いたかったのです。教会はこの世界の只中に神の国が現実にあることを示す使命が与えられています。互いに愛し合うこと、慰められることなど人々が教会に来てここに神の国があるのだとわかる世界があるのだと私たちが生き方を通して示していくのです。

 今日の聖書で教えられるのは「神の国を宣べ伝える」「病人をいやす」ことは父なる神様の御業であり、人間の業でないということです。神様が自分を、今ここで、この家庭、この職場で、この人間関係の中で、神の国の福音、主イエス・キリストによる救いを証しする務めへと派遣しておられることを覚え受け止めること、そしてその務めを、自分の力によってではなく、主イエスの力、神様の力に信頼して忍耐強く続けていくことです。そのような歩みの中で私たちは、私たちの力ではとうてい起こり得ないような神様の偉大なみ業を見せていただくのです。