礼拝メッセージ(2021年7月18日)

『 何を喜ぶのか 』 ルカによる福音書 10章:17~20節  林健一 牧師

 本日お読みしましたルカによる福音書10章17~20節には、主イエスたちの弟子の目覚しい働きが簡潔に報告されています。主イエスは12人の弟子の他に、さらに72人を選ばれ、伝道のために派遣しました。 伝道の任務を与えられた各々弟子たちは、その現場において病人を癒し、さらに主イエスの御名を唱えて悪霊までも屈服させたことが報告されています。彼らはイエスの御名に支えられて伝道していきます。そして、この72人に続く弟子たちが、その後のキリスト教会を担い、約2000年後の今日、太田キリスト教会も伝道の使命を主イエスから託されています。

 72人の弟子たちが、口をそろえて主イエスに報告したことは17節「主よ、お名前を使うと、悪霊さえ、屈服しました」でした。「悪霊」とは、「ダイモニオン」、英語で「デーモン」と呼ばれます。ここでは「悪霊」と訳されておりますが、必ずしも「悪」という、善・悪の悪いという意味がこもっている言葉ではありません。自分自身の理性とか意志を超えた力によって動かされること、日本式に言うと「宿命」とか、「祟り」という意味です。すなわち個人の考えや意志、努力では、どうにもならない人間の力を越えた存在です。聖書では、悪魔・サタンの象徴として蛇とサソリが用いられています。この世に悪と災いをもたらす悪魔が、主イエスの名前の前に、今や無力、無害な存在と成り下がったのです。

 主イエスは弟子たちに言われました。「あなたがたの名が、天に記されていることを喜べ」(20節)と。この恵みに感謝すると共に、「命の書」の署名熱印は主イエスご自身の十字架の血による直筆であることを忘れてはなりません。私たちの主の御名による行いがどんなにすばらしくても「命の書」に名が記されている保証になるのでなく主イエスの贖いにより私たちを救ってくださり、「命の書」に名を書いてくださる主イエス・キリストの御業だけが保証するのです。ただ、主イエスによって罪が贖われ、主イエスの御霊によって永遠の命を賜る、このとだけ、それを喜びたいのです。