礼拝メッセージ(2023年1月22日)
『 頭を上げなさい 』 林健一 牧師
ルカによる福音書 21章:25節~28節

21章 25節:「それから、太陽と月と星に徴が現れる。地上では海がどよめき荒れ狂うので、諸国の民は、なすすべを知らず、不安に陥る。

21章 26節:人々は、この世界に何が起こるのかとおびえ、恐ろしさのあまり気を失うだろう。天体が揺り動かされるからである。

21章 27節:そのとき、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る。

21章 28節:このようなことが起こり始めたら、身を起こして頭を上げなさい。あなたがたの解放の時が近いからだ。」

ルカによる福音書 21章:25節~28節(新共同訳)

 今週も主イエスさまがお語りになった終末についての一連の教えを取り上げています。今日読んだ個所では、「それから、太陽と月と星に徴が現れる」(25)という終末を語る独特な表現で世の終わりのときに起こるべき事象について語り始めます。起こるべき異変は天体でのことばかりではありません。「地上では海がどよめき荒れ狂う」(25)と言われます。


 主イエスさまはここで、恐れや不安の中で慌て、脅え、惑わされそうな私たちに、本当に見つめるべきものは何かを示して下さっています。それが27節です。「そのとき、人の子が大いなる力を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る」。このことをこそ見つめなさい、と主イエスさまは言っておられるのです。「人の子」とは主イエスさまがご自分のことを呼ぶ言葉です。主イエスさまが、大いなる力を帯びて、雲に乗って来るのを人々は見る、と言われているのです。


 キリストの将来の再臨を見つめることが、今この世を生きる私たちにとってどのような意味を持つのでしょうか。「人の子が大いなる力を帯びて雲に乗って来る」という言葉にもう一度注目しましょう。「大いなる力を帯びて」とあります。ここに、キリストが最初にこの世に来られた時のお姿と、もう一度来られるお姿との違いがあります。その「大いなる力」とは、神としての力です。神としてこの世界の全体を支配し、そして全ての人々を審く力です。


 そんな話は誰が信じることができるか、と思うかもしれません。しかしこのことは、この世界は主イエス・キリストのご支配の完成をもって終る、ということです。つまり最終的に支配し、力を振るうのは、主イエス・キリストだ、ということです。そしてその主イエス・キリストは、私たちのために、しかも神さまに背き逆らっている罪人である私たちのために、既にこの世に来て下さり、私たちの全ての罪を背負って十字架にかかって死んで下さり、復活して新しい命の先駆けとなって下さった方です。


 28節には、「このようなことが起り始めたら、身を起こして頭を上げなさい。あなたがたの解放の時が近いからだ」とあります。「このようなこと」とは、世の終わりに向けて起こる様々な苦しみ、戦争や暴動や地震や飢饉や疫病、天体に徴が現れ、海がどよめき荒れ狂う、ということです。私たちを不安に陥れ、脅え慌てさせ、絶望させるこれらのことの中で、しかし主イエスさまの再臨を信じ、主イエスさまによる救いが世の終わりに完成することを待ち望みつつ生きる者は、身を起こして頭を上げることができるのです。